金魚占い ○°・。君だけ専用・。○.
けれど、彼はそのドキドキに気付いてか…?すぐに…力を抜くと自分の身体から私を離した。

「はい。コレ…菜乃の願い事、書いて。」

何かをワザと吹っ切るように、瑠璃は絵馬とペンをしれっと差し出した。

胸の高鳴りに気付いてしまったせいで…やっぱり、うまく言葉が出て来ない。

こんな風に抱き締めるのは…反則。

瑠璃の腕が…胸が…近すぎる。

私は何度も頭の中で整理する。


瑠璃は…親友。

   友達…だから…。

   瑠璃は…私にとって、大切な…

   親友。

心が揺れる。

心の中の言い訳に気付きはじめて…切なくなる。


“ 皆んなの未来が、幸せでありますように
          村瀬 菜乃花 ”

上手くペンが握れるのか…?動揺する指先で何とか絵馬を書き上げた。


頭のどこかで、私が私に問いかける。

   もう…恋はしない?
  
  誰かを信じることは…怖いよ。

 また…傷つくことが出来る程…
         私は強くないでしょ?

頭の奥で……未来の幸せを信じられない自分がいて……。


傷ついても…その人を愛せた事を誇りに思える……。

そんな恋をいつか…することができますか?

未来も…

恋も…

順路通りに進めたら……辛くないのに。



そう…順路通りに……。

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