妻恋婚~御曹司は愛する手段を選ばない~

穏やかな微笑みに吸い寄せられるように私は彼へと近づき、隣りに腰掛ける。


「新婚旅行で行きたい場所はあったか?」

「どこも素敵だから絞りきれない」

「だったら順番を決めてくれ。時間はかかるだろうけど、行きたい場所全部に必ず連れて行く」

「本当!?」


つい声が弾む。パンフレットは国内外合わせて全部で十冊。

どれかひとつと言われると難しくても、行きたい順番を決めるとなるととたんに難易度が低くなる。

テーブル上のパンフレットを掴み取り早速頭の中で順位をつけ始めた時、恭介君は逆に持っていたパンフレットをテーブルへと手放し、私が持ってるそれらにも手をかけてきた。


「だから、ここにある全部の地を訪ね終えるまで、俺たちはずっと新婚でいるしかないな」


バサバサと、手にしていたパンフレットがソファーの足もとに落ちていった。

互いの間にあった不要なものを取り除き、彼が一気に距離を狭めてくる。

目を見張った時にはもう、唇はすぐそこだった。瞳を閉じる間も無く、柔く食むように重なる。

唇が触れるたび、少しずつ恭介君が体重をかけてきて、だから私の体もゆっくりと倒れていく。

ソファーに押し倒された状態のまま、見つめ合う。

そっと彼の頬に触れ、私は自分の気持ちを確認する。

このまま拒絶しない限り、心だけでなく体も恭介君のものとなる。不安だけど嫌じゃない。もっと彼の色に染まりたい。


「恭介君」



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