妻恋婚~御曹司は愛する手段を選ばない~

焦がれるように名を呼ぶと、彼がくすぐったそうに息を吐き、眼差しの熱をあげる。


「美羽」


我慢しきれない声での返しに、私の想いも大きく膨らむ。恭介君が好き。

目を閉じると同時に、再び重なり合う唇。

こんなにもあなたが好きなんだと伝えたくて、どんどん深くなる口づけに必死に応えた。

混ざり合う吐息は私のものなのか彼なのか。

分からなくなるほど夢中になって彼の唇を求め、気持ち良さと欲望の奥底へ体が沈み込む。

首筋をなぞるように彼の唇が降りてきて、甘い刺激に身悶える。

艶やかな声と共に「好き」という言葉が口をついて出ようとした瞬間、ふっと嫌な記憶が脳裏を掠めた。


『なぜ、青砥の息子はそんなお前を結婚相手に選んだんだ?』


幾度となく苦しめられた叔父の言葉に襲われる。


『色仕掛けか? それとも、なにもない故の相手からの哀れみか?』


なぜ私と結婚しようと思ったの? 私は恭介君にとってどんな価値が?

怖くて聞けない疑問ばかりが、一気に心を占めていく。


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