妻恋婚~御曹司は愛する手段を選ばない~
恭介君から飛び出した発言に私は面食らうも、晶子先生は「あらそうだったの」とあっさり受け止め、言った本人も顔色ひとつ変えぬまま頷き返してみせた。
ほんの一瞬でも、恭介君の発言から特別な意味があると勘違いした自分が恥ずかしい。
恭介君は懐かしくて久しぶりに私の顔を見たくなっただけでそこに深い意味は一ミリもないのだと、変に浮かれそうになる気持ちを必死に押さえつけた。
「来てくれて良かったわ。これから美羽ちゃんに話を聞いてもらおうと思っていた所だったの。説明が足りない所は補足してもらえるかしら」
「もちろん。そうだろうなという予想もしてきた」
微笑みながらの申し出に対して恭介君が再び頷いたのを確認してから、晶子先生が私の前まで進み出てきた。
「アザレア音楽スクールって……聞いたことないわよね? すぐそこの駅前と、ショッピングモール内と、まだ二教室での展開しかしていないのだけれど、私は一年半ほど前から駅前の通りのビルに入っている教室でピアノの講師を担当していいて」
「私、知ってます!」
駅前にあったのは気付かなかったけれど、アザレア音楽スクールという名前は先日目にした。