妻恋婚~御曹司は愛する手段を選ばない~
職場に近いショッピングモールで、可愛らしいアザレアの絵柄と共にそのスクール名が書かれた真新しい看板を見かけて、アザレアは晶子先生が好きな花だったなぁと思い出に浸ったばかりなのだ。
「知ってもらえていたなんて、嬉しいわ」
知らず知らずに偶然のつながりを持っていたことに縁を感じたのは私だけじゃなかったようで、少しだけ目を潤ませて晶子先生も嬉しそうに微笑んだ。
「それで相談なんだけど、三ヶ月後にスクールのイベントを開くことになっていて、出来たら美羽ちゃんにスタッフの一員として参加してもらえないかなって」
私にできるお手伝いならいくらでもする。むしろお手伝いさせてもらいたい。すぐさまそう返事をしようとしたが、それより先に続けられた晶子先生の言葉に動きが止まる。
「急な話で申し訳ないんだけど、私のピアノ教室の卒業生代表としてピアノも弾いてもらいたいのよ」
ピアノを弾くとなると話は違ってくる。渋い顔で視線を落とした途端、晶子先生が焦り気味に言葉を追加させた。
「そんなに大規模なイベントではないから身構えないで!」
「でも私、しばらくまともにピアノを弾いていないからすっかり手も鈍っていて」