妻恋婚~御曹司は愛する手段を選ばない~
嫌味を追加した私へ「お前なぁ」と兄がじろり睨みつけてきた。そんな兄に笑顔を返すも、内心は焦りでいっぱいだ。
再びの誤魔化しでなんとか兄に気取られず済んだけれど、実際は恭介君にとっても私は妹みたいなものだという部分に反応してしまったのだ。
兄や恭介君と一緒にいることが多かった私だから、これまでにも周りから妹みたいだと言われたことは何度もある。
当然恭介君の本人からも「妹みたいなものだから」と言われたことがあるし、私自身ももうひとりのお兄ちゃんのように彼を慕っていた。
だから昔は気にしたことなど全くなかった。むしろ嬉しかったくらいなのに、……今は、彼に妹として見られているのがなんだか面白くない。
一気に心を占めた不機嫌な想いに、自分自身も驚き戸惑っている。
これじゃあまるで、恭介君には妹ではなく女としてみてもらいたいみたいじゃない。
落ち着かない気持ちのままに心の中で嘆いて数秒後、さらに顔が熱を持つ。
「どうした?」
「なっ、なんでもない!」
「……だったら降りろよ」