妻恋婚~御曹司は愛する手段を選ばない~
「結婚はなんてまだ私には」
ゆるりと首を横に振って否定すると叔父の目が見開かれ、おまけにきらりと輝いたようにも見えた。
「付き合っている男性はいないのかい?」
「はい。相手もいないから余計に」
彼氏がいないのを認めた瞬間、叔父が満面の笑みを浮かべた。
その態度に戸惑いを覚え警戒心を抱いた私へと、「だったら」と叔父がとんでもないひと言を投下した。
「うちの高志なんてどうだ? ちょっと愛想が悪いが、結婚相手としては申し分ないはずだ」
ぽかんと口が半開きになった私の隣りでお吸い物を飲んでいた兄が盛大にむせかえるも、機敏に反論に転じる。
「ちょっと待ってください! 高志と美羽が? 面白い冗談ですね」
「おい! 何を言っている。冗談なんかじゃない。従兄弟で気心も知れているし、子供の頃から仲も良かった。こうして見るとお似合いじゃないか」
「そうですか? ……このふたり、そこまで仲良かったかなぁ?」
兄と叔父。ふたりとも口元は笑っているが、怖いくらいに目が本気だ。
今にでも喧嘩になりそうな空気が漂い始め、私は「お兄ちゃん」と兄の腕を軽く引っ張り制止する。
続けて、叔父へと顔を向けた。