妻恋婚~御曹司は愛する手段を選ばない~

仕事帰りに晶子先生のスクールへ立ち寄り、レッスン風景を見学させてもらったあとでピアノを借りて練習することも多くなった。

私の他に、ヴァイオリンやフルート、チェロ、コントラバスと、他にも担当者がいて、学生だったり社会人だったり各々忙しいが、集まれる人だけで音をあわせてゆるく練習したり。

そのあと私は、青砥家にお邪魔して練習をする時もあり、そんな時は夕食までもご馳走になっている。

生徒を教える晶子先生の後ろ姿を見ていたら、やっぱり素敵だなとため息が出た。

私も晶子先生のようなピアノの先生になりたかった。

かつての夢に心を揺さぶられて切なくなりながらも、今は自分のできることをしようと意識を切り替えた。

あっという間に二週間が過ぎ、週の真ん中の水曜日。

今日も、スクールを閉めた後、晶子先生とふたりで青砥家に向かっている。


「......うん。晶子先生が良かったらって......」


話を終えて電話を切るとすぐに、横を歩いていた晶子先生が私の顔を覗き込んでくる。


「大和ちゃん、なんて?」

「仕事が終わったら来るそうです。一時間後くらいには行けるって」

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