妻恋婚~御曹司は愛する手段を選ばない~
高志さんの目が好戦的にぎらりと輝き、私は身を竦めた。
「まぁ誰が相手でも、どの企業だって関係ない。美羽が選ぶのは俺だろ?」
差し出された手に数秒狼狽えるも、すぐに覚悟を決めて短く息を吐き出した。
「ごめんなさい。私、高志さんとは結婚できない」
静かに切り出した私の言葉に、高志さんの指先がぴくりと動いた。
「それは困るな。美羽ほど理想に近い女性はいないんだ。俺の力になってほしい。一緒に
羽柴コーポレーションを守っていこう」
出来ることなら、私だって父が大切にしてきた会社を守りたい。
けど、高志さんや叔父さんの思う通りにだけは、手を貸すような真似だけはしたくない。
受け入れられないと首を横に振ると、高志さんの表情がみるみる冷たくなっていく。
つられるように体を強張らせた私の両肩を手荒に掴み、揺さぶりってくる。
「こんなに頼んでいるのになんでだよ! そんなに青砥恭介が?」
「やめてっ! 恭介君は関係ない」
高志さんの手を振り払おうとするも相手の力が強すぎて思うようにいかない。