卒業まで100日、…君を好きになった。
年越し蕎麦はまだ途中だけど、もう味もわからなくなっていたからいい。
息が詰まって苦しくて、これ以上ここにはいられなかった。
「もう行くの? 待ちなさい。いま車で送っていくから」
「ひとりで行けるからいらない」
年越し蕎麦が残っていたけど、味なんてわからなくなっていたからいい。
テレビではこのあと目当てのアーティストが出るはずだけど、あきらめる。
「待って、唯」
「行ってきます!」
準備していたコートとバッグを引っつかんで、わたしは家を飛びだした。
お父さんの顔は見なかった。
見るのが恐いし、見たくもなかった。
普段わたしたちのことなんて気にもしてないくせに、放っておいてほしい時に限って口を出してくる。