卒業まで100日、…君を好きになった。
わたしが高校に受かった時も、製菓の学校に受かった時も、お父さんからは「おめでとう」のひとこともなかった。
お父さんの作るケーキは好きだし、鮮やかで可愛くて美味しいケーキを作るお父さんを尊敬する気持ちはある。
小さい頃から憧れていたからこそ、わたしも同じ道を目指してるんだから。
でも、家にいるお父さんはちがう。
父親として尊敬できない。
お父さんのことが、わからないから。
刺すような夜の冷気の中をひた走る。
白い息を吐き出して夜空を見上げれば、冴え冴えと光る月と星。
それぞれのタイミングで瞬く星を見ていたら、だんだんと気持ちが落ち着いていった。
「はぁ……きれー」
立ち止まって、大きく息を吸い込む。
寒い冬の夜の匂いは嫌いじゃない。
手袋を忘れてきてしまったことに気付いたけど、いまさら取りに戻る気にはなれなかった。