卒業まで100日、…君を好きになった。


「何やってるの?」



そんな人の澄んだ瞳が、真っ直ぐわたしに向いている。

なんだか現実感がなくて、すぐに返事が出てこない。



「え……。えっと、これから、帰るとこ?」

「なんで疑問形?」



不思議そうに平くんが首を傾げる。

わたしだって首を傾げたい。


3年で同じクラスになって、まともに会話したこともない人が、どうして普通に話しかけてくるんだろう。


平くんは自分の席に向かうと、置いてあった鞄を手にした。

そしてなぜかふたたびわたしを見てくる。


表情のあまりない平くんに見つめられると、妙に緊張した。

彼が住む世界のちがう人だっていうのもあるかもしれない。


芸能人に話しかけられたら、きっとこんな風になるんじゃないかな。
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