卒業まで100日、…君を好きになった。

遠い目をして、力なく呟く平くん。

誰より勉強のできる人なのに、彼は常に悩んでいるようだった。


それがわたしは不思議でならない。

だって平くんぐらい頭が良いなら、なんだって出来るんじゃないのかな。


わたしにはお菓子を作ることくらいしか出来ないけど、平くんはなんだってできるし、何にだってなれる。


彼の未来はとっても広くて明るいように、わたしには見えるのだ。

でもわたしがそう言うと、平くんは微妙な顔をする。



「選択肢が広すぎても、選び取ることができなくちゃどこにも行けないよ」

「そういうもの?」

「そういうもの。だから自分でしっかり選択して、誰よりも先に歩きだしてる春川さんの方が、ずっとすごいんだよ」
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