卒業まで100日、…君を好きになった。
小さな声が早口で耳元で囁いた。
ぶわっと全身の毛穴が開いたみたいな、ゾクゾクするような感覚に包まれる。
夢じゃなかった……!
そのまま廊下に出ていく平くんを目で追う。
パーカーのフードが背中で揺れている。
細身だけど、背が高いからか後ろ姿が大きく見えた。
夢じゃなかったんだ。
昨日と景色がちがって見えるのは、気のせいなんかじゃなかった。
ふわふわした気持ちで、ふわふわした足取りで席に戻る。
「唯、風邪でも引いた?」
「えっ」
「顔赤いよ?」
奈々に言われて、ぱっと両手で頬を隠す。
確かにぽっぽと熱を放っているみたいだった。
「はあ? 唯風邪ひいたの? みんなに移さないでよね~」