卒業まで100日、…君を好きになった。
そう言って、さくりと彼がクッキーをかじる。
薄い唇から見えた白い歯が妙に綺麗で、ちょっとどきっとしてしまった。
無表情で咀嚼する平くん。
ごくりと喉を鳴らしたあと、何度か瞬きをしてこっちを見た。
「……さっきの訂正するわ」
「え? さっきの?」
「売ってるやつより美味しいね」
一瞬。
瞬きの間のほんの短い時間。
微かに彼は微笑んだ。
それを間近で見てしまったものだから、なんだかとても貴重なものをもらった気がして。
うれしくて、照れくさくて、顔がかあっと熱くなった。
「あ、ありがとう!」
「さすが製菓の学校に進学する人の作るものは違うね」
「そんな。わたしなんて趣味程度で……」
「趣味でこれなら逆にすごいよ。春川さんて、パティシエになりたいの?」