卒業まで100日、…君を好きになった。
「仲悪いわけじゃないけど、べたべたもしてない。普通じゃない?」
「そうなんだ……」
「弟も、最近よくわからん」
「うん。わたしも同じことよく思う」
思わず力強くうなずいたわたしに、平くんが意外そうな顔をする。
「春川さん、弟いんの?」
「うん。中3の受験生。昨日ケンカになったって言うか……弟を怒らせちゃって」
不意に平くんの手が伸びてきて固まる。
人差し指がすいと、わたしの目の下の、皮膚の薄いところを撫でていった。
「もしかして、それで寝不足?」
じっと、彼の深いところできらきら光る黒い瞳が、わたしの顔を見下ろしてくる。
乾いた指の感触と、その瞳の近さにどぎまぎした。