一級建築士の萌える囁き~ツインソウルはお前だけ~
「10時から15分間は休憩の時間なんだ」

そういえば、さっき学校のチャイムのような音が鳴った。

「設計図ばかり眺めてると思考も作図も行き詰まるだろ?減り張りが大事ってわけ」

海音が飲んでいるのは、期待に反せずブラックコーヒー。

一気に飲み干すと、海音は空き缶を丁寧にダストボックスに入れた。

萌音の飲み物は、微炭酸とはいえ一気飲みはできない。

萌音はチラッと海音を見たが、マイペースを崩さずに、ゆっくりと飲む姿勢を貫いた。

「流川さんは中学校はどこ?」

「私立N学園中等部です」

萌音は、中高一貫校に通った。

「俺もそこ、通ってた」

海音の言葉に、萌音は隣に立つ彼を見上げた。

「何期生ですか?」

「34期生」

「私は38期生です。4年先輩なら中等部でも高等部でも被ることはないけど、校内のどこかですれ違っていたかも知れませんね」

萌音は懐かしくなって、海音に微笑みかけていた。

「ああ」

口許を緩めて同じように微笑んだ海音は、何故か萌音の頭をグリグリと撫でた。

「犬じゃありませんけど」

「悪い、犬に見えた」

これではデート中のバカップルではないか。

萌音は、残りの微炭酸飲料を一気に飲み干すと、

「ごちそうさまでした。先輩のお気遣いは大変有難かったのですが、私、仕事中は炭酸飲まないんです。一気飲みできなくて困るから」

「そうか、気を付けるよ」

無表情を崩して朗らかに笑う海音の笑顔は破壊力抜群だ。

「いえ、今後はお気遣い無用でお願いします」

無愛想だと思っていた海音の突然の笑顔にときめいてしまったのはイケメンマジックの影響に違いない。

萌音は

「行きましょう。佐和山さん」

と言って、気を取り直してランチタイムまでの時間に集中することにした。

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