一級建築士の萌える囁き~ツインソウルはお前だけ~
「CADは使える?」

「はい。大学ではCADは必須でしたから」

CADとは、Computer Aided Designの略。

コンピューターを使って設計することや、設計するためのソフトやシステムのことを示す略語である。

「二次元CAD、三次元CADどちらも使える?」

「ええ、問題ありません。もちろん手作業での図面もいけます」

平面、立体、三次元、それぞれを見やすくするソフトは多数存在する。

しかし、製図を一から机上の図面に手書きする作業も萌音の好きな作業だった。

「俺もたまに図面に手書きするよ」

嬉しそうに微笑む海音も根っからの職人気質のようで安心した。

「じゃあ、俺が手掛けている現在の仕事を説明するね」

卒後五年目の海音は、何回か建築デザインコンテストで賞を取ったことがあるらしく、固定客も多いらしい。

「わあ、凄い」

住宅建築、ビル建設、橋や公共施設の受注。

海音の請け負う仕事はどれもキラキラしていて萌音の心を揺さぶった。

「明日からは取引先に流川さんも連れていくよ。百聞は一見にしかずだから。設計図とかバンバン手伝ってもらうから覚悟して」

「はい。ご指導よろしくお願いします!」

張り切って敬礼の姿勢をする萌音の頭を、またも海音が撫でようとしたため、さっと萌音はそれを避けた。

「社内でナデナデ禁止です!」

「社外ならいいの?」

「社外でも仕事中はだめです!」

「仕事が終わればいいんだね。言質は取ったよ」

「バカなの?」

「口が悪いんだね」

海音に言われて自分がタメグチを聞いてしまったことに気づく萌音。

だが、からかう海音が悪いのだ。

「元はと言えば佐和山さんが悪いんですから謝りません」

睨み付ける萌音に、海音は肩をすくめて自席に座った。

萌音の席はその隣に置かれていた。

自席にパソコン、椅子の後方には図面台が置かれ、最低限の距離で最大限の作業が出来るように配慮されていた。

「じゃあ、まずはCADを使った作図をお願いするから、これを図面に起こして」

萌音は、大きく頷くと、目の前の大好物である製図作りに集中し始めた。

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