転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ~婚約式はロマンスの始まりですか!?~
 リヒャルトの隣に立ちたくて、立てなくても彼の支えになりたくて。以前より熱心に勉強に取り組んではいるけれど、それではザーラに対抗するには足りない。足りなすぎるのだ。
 今日は、ダンスレッスンの日だ。
 ダンスレッスンに使われる建物はクィアトール宮のすぐそばだ。そのため、ダンスレッスンの前後にクィアトール宮での講義がある時は、馬車を使わず歩いて移動することも多かった。
 庭園を歩いて移動するのは、運動も兼ねている。

「――ヴィオラ様」

 誰かに名前を呼ばれたような気がして、ヴィオラは足を止める。つられてニイファも立ち止まった。

「今、誰かに呼ばれたわよね?」
「はい、私にも聞こえました」

 ヴィオラの空耳ではなかったようだ。ニイファもきょろきょろと周囲を見回す。

「ここ、ここですよ、ここ」

 灌木の陰から、手が突き出ている。ひょいひょいとふたりを手招きして呼ぶが、隠れているので誰なのかわからない。
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