転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ~婚約式はロマンスの始まりですか!?~
 聞いた話によれば、皇妃がリヒャルトを身ごもった頃、ティアンネ妃も身ごもっていたそうだ。その子供は残念ながら生まれることはなく、それ以降、彼女は子供に恵まれなかった。
 子供が無事に生まれてさえいれば、自分が皇妃になれたという想いは消しようがなかったのかもしれない。アデリナ皇妃の母国であるウルミナ王国はすでに滅亡していて、皇妃には有力な後ろ盾となる実家がない。皇妃の地位から降ろされなかったのは、皇帝の皇妃に対する厚意でしかなかったと皇妃自身が口にしたこともある。
 多数いる皇帝の妃の中で最も寵愛されていても、皇妃の地位はティアンネ妃にとって大切なものであったのだろう。

(うーん、やっぱり私には理解できないなぁ……というか、たくさんお妃様がいるっていうのも慣れないんだけど)

 皇太子であるリヒャルトも、何人かの妃を持つことになるだろう。ヴィオラはあくまでもそのうちのひとりでしかない。
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