転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ～婚約式はロマンスの始まりですか!?～

　ヴィオラが嫌だと言ってどうにかなる問題でもないのだが、夫の愛情をめぐって妻同士が対立するなんて、どろどろの愛憎劇が生まれて当然だ。

（……私を〝守る〟ための婚約なのはわかっているし、今以上を望むつもりもないんだけど）

　そんな風に考え込んでいるヴィオラが今いるのは、満月宮にある図書室だ。
　皇宮には、大きな図書館が存在するが、各宮には図書室と称される部屋が設けられている。
　この場合の図書室とは、本がたくさん置かれているというだけではなく、勉強部屋や書斎のような役割も兼ねている。
　この図書室に置かれているのは、比較的使用頻度の高い各国の歴史書だの王族の一覧だのという、帝国に関する重要な書物だけではない。
ここでのんびり過ごす時、考えなくても眺めているだけで楽しい美しい画集や、軽い読み物なども書棚に並んでいる。
　ヴィオラのために、最近は比較的優しい子供向けの読み物も書棚に収められるようになった。