転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ~婚約式はロマンスの始まりですか!?~
 立ち上がったヴィオラの方へ、リヒャルトが身をかがめてくる。長身を折り曲げるようにして目線を合わせられ、ヴィオラはどぎまぎとした。

「……なにか?」
「今ので俺をごまかせたと思うな」
「リヒャルト様には、そう見えますか?」
「ああ。君はいつも熱心だが、少しは息抜きをすることも覚えた方がいい。まだ子供なんだから」

 まだ、子供。
 みんな、ヴィオラにその言葉をかけたがる。
 ヴィオラ自身、幼い容姿を武器に使っているところもあるけれど、リヒャルトの口からそう聞かされてしまうと、胸のあたりがずしりとする。
 自分の力のなさを目の当たりに突き付けられるからだ。

「そうですね、無理はしません」

 どうして胸が重くなるのか、ヴィオラはちゃんとわかっている。リヒャルトの前でそれを見せるわけにはいかないということも。
 だから、子供の顔を崩さないのだ――彼の前では、特に。
 ぱたぱたと図書室の扉の方へと走り、そこでリヒャルトを振り返る。

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