転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ~婚約式はロマンスの始まりですか!?~
 皇妃はジャニス妃と話をすると言っていたし、以前とは関係が改善されている――とは思うが、婚約式という大事な場に首飾りを本当に貸してくれるとは思わなかった。

「ヴィオラ様の後ろ盾になりたいと、そう思われているのですよ。セドリック殿下を皇太子にしたいかどうかは別として」
「そういうものなの? お気持ちはありがたくいただこうと思うけれど……」


(――でも、私に首飾りを貸してくれるということは、今のところティアンネ妃やザーラと手を組むつもりはないということなのかしら)

 ヴィオラの後ろ盾となるのは、積極的に皇妃に協力するという姿勢を周囲に見せることにもつながる。ティアンネ妃やザーラの側につくというのなら、婚約式という場でそんなことはしないだろう。

「……そういえば、タケル様の姿が見えないわね」
「このところ、お姿が見えないことが増えたそうですよ」
「新月宮にずっといるのかしら」

 先日、新月宮を探ってくると言ってくれたタケルは、本当に隠し通路にいるのだろうか。

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