転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ~婚約式はロマンスの始まりですか!?~
 ヴィオラが口を開いたことで、皇妃は少し安心したようだ。ぱっと顔が明るくなる。

「土鍋もこの間、買いましたよね?」
「厨房に聞けばわかると思うが……」

 リヒャルトは怪訝な顔をしている。ヴィオラはにっこりとした。

「じゃあ、アラムのところに行ってきます! 出来上がったら、ここに持ってきますね。試食してください」

 部屋を飛び出したヴィオラのあとから、リヒャルトが追いかけてくる。

「どうした?」
「たぶん、見た目がだめなんですよ。野菜スープだけだと地味だから。陛下って、料理の盛り付けに感心することが多いじゃないですか」

 食欲がないというのも本当のことだろうが、体調が悪い分、わがままな面が出ている可能性の方が高い。

「思いついたことがあるので、アラムに手伝ってもらおうと思います」

 急ぎ足に廊下を進み、ヴィオラは厨房に飛び込んだ。

「アラム! 手を貸してほしいの。陛下のお食事を試作するから。土鍋を出してもらえるかしら」

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