転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ~婚約式はロマンスの始まりですか!?~
「実感のこもった言葉ですね、タケル様」
「まあ、俺の国もいろいろあったからな」

 ヴィオラは話に聞くだけが、タケルの国はつい最近まで王位を巡る争いが繰り広げられていたという。
 タケルはその中心にいたわけだから、きっとここでは話せないようなこともいろいろ見てきたのだろう。

「俺も、新月宮に潜り込んでいる時に聞いた話だから確証はない。あのおばさんが、噂の出どころじゃないかと思ったんだけどなー」
「……そんなの。ザーラは、簡単に証拠を掴ませるような真似はしないと思うんです。私こそ、タケル様に面倒なことをお願いしてしまって、申し訳ないって……」
「それは、いいんだよ。俺が言い出したことなんだからな。俺がヴィオラを守りたいと思ってやってることなんだから」
「タケル様は……優しいんですね」

 優しい、というだけがこの場合適切なのかどうかはわからなかった。
 もっと、タケル自身を表すのにふさわしい言葉があると思うのに、自分の語彙力のなさが恨めしくなる。
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