転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ~婚約式はロマンスの始まりですか!?~
「今のところ、その者は体調を崩してはいない。長期にわたって少量の毒を盛るという手があるという話も聞いているが、その者はピンピンしている」


(……だから、リヒャルト様のことを信じているの?)

 そう思うけれど、言葉にして問うことはできなかった。

「ほ、本当にその人は大丈夫なんですか?」
「人ではない。猿だ。犬や猫より人に近いと聞いたからな」
「……さ、る……猿、ですか」

 たしかに、猿なら人には近いかもしれない。というか、皇帝がそこまで用心しているとはまったく気づいていなかった。
 噂に踊らされ、侍従に無理を言ってここまで来た自分の愚かさを痛切に感じさせられる。

「ごめんなさい……余計な心配でしたね」

 たぶん、ヴィオラが直接口にしなくても、なにを心配しているのか皇妃は気づいているが、あえて口には出さない。

「いいのよ。あなたの耳に届くほどの噂になっているという方が問題なんだもの」
「そうだな。そうなると、都の治安も怪しくなってくるかもしれないな」

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