転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ~婚約式はロマンスの始まりですか!?~
 気づいた時には、リヒャルトの手がヴィオラの背中に回されている。
 ぐっと彼の方に寄せられて、妙な声が出そうになったのを懸命にこらえた。

(……これはまずい、これはまずい、これはまずい……!)

 ひたすらに、心の中で繰り返す。
 リヒャルトとヴィオラの額が正面から触れ合って、視線を上げれば、リヒャルトの目がすぐそこにあるのだ。
彼の瞳に、意識のすべてを吸い込まれてしまいそうだ。耐え切れなくなって、ぎゅっと目を閉じる。
 額に触れているリヒャルトの額。ヴィオラの体温より少し低い体温。彼は大人なのだと、改めて思い知らされたような気がした。

「ヴィオラがそう言ってくれると、俺も無敵になれるような気がする」

 耳をうつ笑い交じりの声。
そんなことを言われたら、ますます心臓が騒ぎ始めるではないか。

「リヒャルト様……あのですねっ!」

 これ以上は心臓に悪い。そう言おうとしたら、すっとリヒャルトの顔が離れていった。

「君に力づけられるなんて、俺もどうかしているな」
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