転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ~婚約式はロマンスの始まりですか!?~
 いきなりヴィオラに抱き着かれて、リヒャルトが身体をこわばらせる。
 それはヴィオラもわかっていたけれど、離れようとは思わなかった。
 もう少しだけ力を込めて、リヒャルトを自分の方へと引き寄せる。

「大丈夫、リヒャルト様は……勝ちます」

 距離が近づいて、リヒャルトの心臓がドキドキしているのを間近で感じて、胸がじわりと熱くなる。

「リヒャルト様は失敗なんてしません」

 なけなしの勇気を振り絞ったけれど、これが限界だ。
 リヒャルトの首に巻き付けていた手を離し、ヴィオラは身体の両脇にだらんと力なく垂らした。

「リヒャルト様は間違っていないんです。ティアンネ妃が、この国の秩序を破ろうとしていて、リンデルトがそれに協力しているのだとしたら、ふたりを止めないといけないんです」
「――ああ、そうだな」

 リヒャルトの表情が、少しだけ柔らかくなった。
 上手に言葉にできたとは思わないけれど、ヴィオラの思いは、きちんとリヒャルトに伝わっているようだ。

(……ん?)

< 237 / 302 >

この作品をシェア

pagetop