転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ~婚約式はロマンスの始まりですか!?~
 ヴィオラはあまり語りたがらないが、国にいた頃はたしかに大変な苦労をしていたようだ。
 目立たないように徹しているニイファの陰での働きも、リヒャルトは気づいている。
 周囲の状況から人の心の内を読み取る能力は、あの国でヴィオラを守っている間に身についたものなのかもしれない。

「ザーラ妃は、自分が王妃になれなかったのはヴィオラ姫の母君のせいだ、そう言っていました。身分のある女性との結婚が当時のイローウェン国王には必要だったのだということを、頭では理解していても心の方はついてこない」
「地位に固執するなんて、くだらない。そうは思わないか」

 それは、リヒャルトの本音であった。
 後ろ盾を失い、周囲の貴族達から軽んじられていた母。
皇太子という立場にありながら、日陰の身に甘んじてきたのは、変に目立って母を攻撃されるのを恐れていたからだ。

「殿下なら、そうおっしゃるのでしょうね」

 リンデルトの眉間に深い皺が生まれた。
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