転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ~婚約式はロマンスの始まりですか!?~
〝ヴィオラ〟と〝咲綾〟。ふたりが混ざって今のヴィオラとなっている。
 大丈夫。
 自分は覚悟を決めている。
支えてくれるたくさんの人達に囲まれているから、父のその姿勢だって肯定してみせる。
 イローウェン王国にはたいした感慨もないけれど、イローウェン王家に生まれた以上、国民のために努力する義務がある。

「さあ、召し上がって。殿下が気に入ってくださったら、帝国への輸出量を増やそうと思っておりますのよ」

 にっこりと微笑んだザーラの顔に邪気はない。
 イローウェン王国にいた頃、ヴィオラの訴えを誰も聞いてくれなかったのは、皆がザーラに傾倒していたのではなく、この笑顔に騙されていたのかもしれない。
 こんな風に思えるようになったのも、この国に来て違うものの見方を手に入れたからだ。

「これがイローウェン産の茶葉か。我が国にはほとんど入ってこないと聞いているが、高品質だそうな」

 リヒャルトがカップを取り上げる。ザーラは笑みを浮かべ、リヒャルトを見ていた。

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