転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ~婚約式はロマンスの始まりですか!?~
「リヒャルト様のカップには入っていないみたいです」

 リヒャルトに害を加えるつもりはなかったことに安堵した。
 ごくごく少量の、ある毒物の味だ。独特の苦み。
おそらく、注意深く口にしても普通なら気づかないわずかなもの。
 紅茶の苦みに紛れてわかりにくいから、ヴィオラの鋭敏な味覚でさえも、普段なら見過ごしていたと思う。今回は特に用心していたから気づけたのだ。

「――私のカップに、ダレル草の抽出液が入っていたのは偶然ですか?」
「な、なにを言っているの? そんなことあるはずないでしょう。今、あなた達の目の前で淹れたのですから」

 ダレル草とは、毒性を持つ植物だ。
 根の抽出液は毒となる。遅効性で、効果が出るまで時間がかかるため、ダレル草を使った毒殺は病死と間違えられることも多いそうだ。
 だが、かなりの量を摂取しなければ死には至らない。ごくごくわずかな量を摂取するだけならば、薬にもなりうる植物だ。

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