転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ~婚約式はロマンスの始まりですか!?~
 ティアンネ元妃は、〝病死〟。

 その死の裏にはきっと彼女の国の王族達の意思が働くだろうが"病死"する運命は覆らない。
彼女は、皇帝の愛を過信したのだ。
 リンデルトも、ティアンネ元妃に同行して国に戻るという。おそらく、彼も同じ運命をたどることをわかっているはずだ。
 けれど、それをヴィオラに止めることなどできるはずもない。
 忠誠心を、他人がとやかく言うことなんてできないのだ。

「セスにはいくらか持たせることにした。ヴィオラの領地を管理するのだからな。いろいろ初期投資も必要だろう」
「ありがとうございます。セスが引き受けてくれてよかったです。セスなら信用できますもんね」

 だから、あえて明るい話題を口にする。
 セスも父に従って戻ろうとしたけれど、それを止めたのはリヒャルトだったそうだ。セスがこっそり教えてくれた。
 情状酌量の余地があるということで、セスの再入国については罪に問われなかった。
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