転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ~婚約式はロマンスの始まりですか!?~
 不安な目でニイファの方を見ると、彼女はすぐにヴィオラの不安に気づいてくれた。彼女はヴィオラの前で膝をつき、両手でヴィオラの頬を挟み込む。
 侍女としては出すぎた振る舞いだが、ニイファは例外だ。明るい茶色の瞳が、ヴィオラの瞳を真正面から見据える。それだけで、ずいぶんと落ち着きを取り戻したような気がした。

「ニイファも、そばで拝見します。ヴィオラ様なら大丈夫ですとも」
「……ありがとう、ニイファ」

 本当に、ニイファには頼り切りになってしまっている。
早くニイファに恩を返せるようにならなくては。そのためにも、もっともっといろいろなことを学ぶ必要があると改めて決意を固める。
 ニイファはすぐそばにはいられないが、陰から見守る許可は皇妃から得ていた。なにかあったらすぐにニイファが助けてくれると思うだけで、不安が軽減される。

(大丈夫、私は、大丈夫……イローウェン国王と王妃に会うだけだもの。特別なことなんてなにもない)

< 49 / 302 >

この作品をシェア

pagetop