転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ～婚約式はロマンスの始まりですか!?～

　胃が締め付けられているようで、今日は昼食もろくに食べることができなかった。
　教科書に目をやることで、少しでも現実から逃避しようとしていたのだが、無駄な努力だったようだ。

（あの時、私を襲ってきた人達は、ザーラに命令されて来たのかしら）

　ニイファが髪を整えてくれるのを、鏡越しに見つめながら考える。
　あれ以降、あの道で盗賊が出たという話は聞かない。
帝国があのあたりを厳重に取り締まったからなのか、他の要因があるのか。それを知るすべはヴィオラにはなかった。

（ザーラの仕業だっていう確信があるわけじゃないし、疑うのは――ダメ。それより、お父様の前で失敗しないようにしないと）


「お支度が整いました」

　ニイファの声に、改めて鏡を見つめる。
　いつもは頭の高い位置で二つに分けて結う髪は、今日は下ろされ、上半分だけを後頭部でまとめている。そこにドレスと同じ色合いのリボンが飾られていた。

「……ニイファ、私」