転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ~婚約式はロマンスの始まりですか!?~
 長身の彼が、身をかがめてヴィオラと目線を合わせた。そして、真正面から瞳をのぞきこみながらそう問いかけてくる。

「――行ってきます」

 ヴィオラはこくりとうなずき、自分の声が震えていなかったことに安堵した。

(大丈夫、私は、大丈夫)

 心の中で、何度も自分にそう言い聞かせながら、新月宮に足を踏み入れる。

(以前とは内装を変えたのね)

 ヤエコが滞在していた時は、ミナホ国の家具を持ち込み、自分の好きなように内装を整えていた。だが、今は帝国風の家具に戻されている。

「ヴィオラ・アドルナート、まいりました」

 父とザーラが面談の場に選んだのは、小さな部屋だった。客人をもてなすための部屋はいくつかあるが、その中でも一番小さなものだ。
 今回やってくるのはヴィオラひとりだし、気を遣う必要はない相手とみなしているのだろう。

「しばらく見ない間に、ずいぶん立派に成長なさいましたのね」
「ありがとうございます、王妃様」

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