死者の魂〜最期のメッセージ〜
「実は、毛の正体がわかったの」

「本当か!?」

藍は、DNA検査の結果を如月刑事に伝える。如月刑事は「なるほど。すぐに調べる」と言った。

「藍、覚悟はできたか?」

心配げに如月刑事は訊ねる。それは、見たくない真実も見なければならない日が近いということだ。藍は頷く。

「大丈夫よ。真実を教えて」

「……わかった」

そう言ったきり、二人は黙り込む。電話を切ることもせずにただ黙っていた。

「藍」

数分の沈黙の後、如月刑事が口を開く。その声はさっきの刑事らしい凛とした声でない。どこか緊張したような声だ。

「何?」

如月刑事は少し考えた後、言った。

「俺は、俺の仕事を全うしても構わないか?」

「どうしてそんなことを?」

「……お前を傷つけることになるかもしれない」

珍しく気弱な声の如月刑事に、藍は優しく笑った。

「もう大丈夫よ。私も、私の仕事を全うする。もう怖くなんてない。あなたは犯人を逮捕してください」
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