かりそめ婚ですが、一夜を共にしたら旦那様の愛妻欲が止まりません
「ああ、もうこんな時間か、君もゆっくり休むといい」

すでに日付が変わり、長嶺さんはもう一度私の頭を撫でて額に軽く“おやすみのキス”をした。

「……そういえば」

「ん?」

「今日、恭子さんにも同じことされました。おでこにチュッて」

こんなこと、別に言わなくてもいいのになんとなくこの甘い空気がむず痒くて、頭で考える前に口から言葉がこぼれる。恭子さんのは長嶺さんのキスと違って親愛の印だ。他意はない。

「なんだって?」

けれど、なぜか長嶺さんの顔がみるみる曇っていく。今までの柔らかな表情とは打って変わってむしろ怒っているような……。
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