かりそめ婚ですが、一夜を共にしたら旦那様の愛妻欲が止まりません
「だからそうだと言っているだろ? それに芽衣、こう言ってはなんだが……君の手にしているピンバッジは偽物だ」

「えっ!? にせ、もの……?」

どういうこと? 偽物って? どうして?

どこからどう見ても私がなくしたピンバッジだ。それなのに長嶺さんは偽物だという。

「な、長嶺部長、いくらなんでも冗談が過ぎますよ? 偽物なわけ――」

「本物は裏に受賞者の登録番号が刻まれているはずだ。見てみろ」

長嶺さんに言われて、ピンバッジの裏を見てみる。けれど、そこはツルツルの面でなにも記されてはいなかった。

「まぁ、それは小さいからな、君が気づかなかったとしても仕方のないことだ。本物はこっちだ」

長嶺さんがポケットから取り出したものを私の手に載せる。裏面を見ると、三桁の数字が小さく刻まれていた。

「あ、本当だ……」

その様子を見ていた猪瀬君の表情が強張り、渋く顔を歪めた。
< 140 / 220 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop