かりそめ婚ですが、一夜を共にしたら旦那様の愛妻欲が止まりません
えっと、オフィス棟は……こっちだね。

長嶺さんの職場である長嶺不動産商業マネジメント株式会社は、案内図で見るとちょうど商業棟の真裏にあるけれど、裏口から出るとすぐにたどり着けた。

お店の情報貰いに来たのに、私何やってるんだろ……。

クライアントのお使いなんてするコンサルタントがいるだろうか、加賀美さんにバレたら「お前何しに行ったんだ?」と小言を言われるかもしれない。

けど、こんな機会でもなきゃオフィス棟なんて行くことなんてないし。

興味で高鳴る胸を押さえつつ、私は足早にオフィス棟のエントランスをくぐった。

オフィス棟には他にも別の会社がいくつか入っていて、長嶺不動産商業マネジメント株式会社は五階から七階を占めている。彼のいるオフィスはその五階。

なんか緊張してきた……。

ポンという到着した合図の電子音がすると、エレベーターが静かに開いて前に進む。

正面にはダークグリーンの壁に掲げられた会社のロゴをバックに綺麗なレセプションがある。

堅苦しい場所だと思っていたけれど、窓から日の光が燦々と降り注ぎ意外と明るい雰囲気だった。受付嬢が席を外しているのか、レセプションには誰もいない。

どうしよう、困ったな。あ、あれは……。

レセプションデスクの横からオフィスへ行く通路がある。そしてそこからガラス張りのミーティングルームがちらりと見えた。
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