【短】舞散れ、冬の香り。

じくじくと痛んだ胸の傷痕を、まるで塞ぐようにして、彼はその後も献身的に愛をくれる。


そして、粉々に崩されたその傷痕は、私を変えて行った。


『最近、内海さん雰囲気違うよな』

『元がいいから、余計にイイっていうか…』



そんな、男性社員の声を聞き付けた古松くんが、今度は不機嫌顔をして、私を抱き締める。


「加奈恵は、俺のモノなんだって早く公言したい」

「くすくす…あと一週間もすれば、結婚宣言出来るじゃないの」

「それでも!それでも、加奈恵への俺の愛ははみ出すくらい大きいの!」


ぷぅと膨れる彼の頬に、掠めるようにキスを落として、


「好きよ。瑠比だけだよ…私のことを愛してくれるのは。それを知ってるのは二人だけでいいんじゃない?」


と、宥めた。

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