愛は、つらぬく主義につき。 ~2
メンズ売り場では定番だけど身内(かぞく)向けにハンカチ、真にはネクタイをギフト用で包装してもらう。

「おじいちゃんとお父さんのは、専門店街をひと回りして目星だけつけとこうと思って。去年はかりんとう饅頭にしたんだよねぇ」

他の階はよそ見しないで下りのエスカレーターで運ばれながら。片手がさらに荷物で塞がったスーツ姿の男は、一段うしろから空気で返事する。

「あとはネットで取り寄せって手もあるかなぁ」

一方的に話しかけ、地下まであと一階分、動く階段に足を踏み出そうとした刹那。いきなり二の腕辺りを強く引っ張られ下りさせてはもらえなかった。

「ちょっ・・・?!」

驚いたあたしにはかまわず手首を掴んで、180度反転した榊。
無言でブランドコスメ売り場を抜けた先の玄関口に向かい、脇目も振らず大股で歩き出す。

「・・・榊っっ」

「心配ねぇよ・・・!」

速度を緩めることなく前を見据えたまま放たれた一言。

その意味も、なにが起こってるのかも分かんない。
混乱して頭もココロも揉みくちゃになってる。カラダが脳と切り離されたみたいにバラバラな気がしてる、でも。

脚が前に出続けた。

言ったのが榊じゃなかったら。無理だった。
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