愛は、つらぬく主義につき。 ~2
てっきり売り場まで同行するとばかり思い込んでたら、西沢さんは目的地の前であたしと榊を下ろし別行動を申し出た。ボディガードは榊に任せ、周囲の監視役を引き受けてくれるつもりらしい。


毎年、ここの特設コーナーは有名ブランドや有名パティスリーのチョコも多く取り揃えられてて、満足度が高い。
職場と組事務所用に個数が詰まった大箱タイプを探し、本命チョコは厳選。仁兄や榊の分もあれこれ悩んでやっとレジに並ぶ。

黙ってついて回った榊は黙ってあたしの手から紙袋を取り上げると、黙々とエスカレーターに向かって歩き出す。相変わらずの仏頂面だけど、愚痴や文句を言われたことは一度もない。・・・ほんとにね。

「10年後も20年後も懲りずに付き合ってよ?」

わざと軽口を叩けば。隣りから高圧目線が刺すように降ってきた。

「・・・今さら言うことかよ」


裏腹に、イヤとは絶対に言わないのを知ってて訊くあたしは。ちょっと意地悪なのかな?
< 86 / 245 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop