溺愛なんてされるものじゃありません
そして次の日も営業企画課で事務の仕事をする事になった。

「赤崎さん、この資料もお願いしていいかな。」

「はい。」

気まずい中、私は主任から資料を受け取りパソコンの前に座る。入力しようと思って資料を見ると、青の付箋(ふせん)に書かれたメモが添え付けられていた。

『この前の夜の事、まだ怒っているか?』

綺麗な字で書かれたメモを見た私は思わず主任の方を見た。

主任は勘違いをしている。私は最初から怒ってないし、ただキスされてドキドキして恥ずかしさでいっぱいで…主任と顔を合わせ辛いと言うだけなのに、主任から見たら私は怒っているように見えたのかな。

私は素早く資料を見ながら入力をして、ピンクの付箋(ふせん)で返事をした。

『最初から怒ってませんけど。』

資料に付箋(ふせん)をつけて、主任に確認お願いしますと言って渡す。

「こっちの資料もお願いします。」

また資料を渡された。座って確認するとまた青の付箋(ふせん)がついている。

『じゃあまた夜ご飯に誘ってもいいかな?』

そのメッセージを見た時、私は何だかんだくすぐったい気持ちになりクスッと笑った。そして返事の付箋(ふせん)をつけて主任の元へ行く。

『お肉とビールがあるなら行きます。』

私の返事を見た主任は笑みを浮かべて私を見る。

「ありがとう赤崎さん。了解です。」

極上の笑顔を見せられた私は、ドキドキしながら頰を赤らめて、でもそれを気付かれないように必死に冷静を装った。

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