溺愛なんてされるものじゃありません
主任×私×デート
仕事が終わり携帯を見る。けど主任からの連絡はない。てっきりご飯の誘いは今日の事かと思ってたんだけど違ったのかな。

私は裕香達と少しお喋りをして駅へ向かう。

「唐揚げでも買って帰ろうかな。」

夜ご飯の事を考えながら電車に揺られ、最寄りの駅に着いた。そして近くにある持ち帰り専門の唐揚げ屋さんに立ち寄り揚げたての唐揚げを買った。

買い物も終わり、薄暗い夜道を一人で足早に歩く。

「赤崎。」

聞き覚えのある声に呼ばれて振り向くと、主任が走って私の元へ来た。

「お疲れ様です。今帰りですか?」

「あぁ、今日は残業で帰りが少し遅くなった…赤崎も今仕事帰りか?」

「はい。仕事は定時で終わりましたけど、裕香達と話したり唐揚げ買ったりしてたらこんな時間になりました。」

私と主任は並んで歩き始める。

「…本当は今日一緒にご飯食べようと思っていたけど、残業で遅くなったし肉とビールの買い出しも出来なかった。申し訳ない。」

「…一緒に唐揚げ食べます?ビールも家にあるから持って行きますよ。」

私は手に持っている唐揚げの入った袋を主任に見せる。

「いいのか?」

「いいですよ。唐揚げは少ししかないですけど。」

「いや…一緒にビールを飲んでって意味だったんだが。」

主任は立ち止まってじぃっと私を見る。一緒にビール飲んだら…またこの前の夜みたいになるのかな。でも…。

「一緒に飲みましょうよ。一人で飲むより二人の方が楽しく飲めますし。それに、万一理性がなくなりそうになったら…殴って逃げます。」

私はニッコリして主任に言った。正直、あの色気を前に逃げる自信はないのだけど…。

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