溺愛なんてされるものじゃありません
主任×私×飲み会
溺愛の実践練習を始めてから1週間が経った。私はというと、主任からの溺愛を受け続け…げっそりとしている。

私はイケメンからの甘い言葉や態度を舐めていたかもしれない。ドキドキし過ぎてめっちゃ疲れる。

正直、主任が参考にしている恋愛小説にクレームをつけてやりたいくらいだ。全くどの溺愛恋愛小説を参考にしているのやら。

「なんか美織、最近やつれてない?」

仕事の昼休み中、社員食堂でご飯を食べていると、同じ庶務課で同僚の清水(しみず) 裕香(ゆうか)が私の顔を見ながら言ってきた。

「まぁ…色々あってね。」

私は哀愁漂う表情をする。

「そう、じゃあ気分転換に今日飲みに行く?」

裕香はニッコリして聞いてくる。いつ見ても裕香は落ち着いたオトナ女子って感じで綺麗だなぁと惚れ惚れしちゃう。そういえば今日は主任も夜は予定があると言ってたし、私も久しぶりに飲みに行こう。

「いいね、パァーッと飲んじゃいますか。」

私と裕香が話をしていると、私の後ろに座っていたどこの部署か知らない男性社員が声をかけてきた。

「ねぇ、良かったら今日俺たちと一緒に飲まない?男4人で飲む予定なんだけど。」

私達の会話を聞いていたのか、飲みに誘われてしまった。どうしようと裕香の方を見ると、裕香はOKと親指と人差し指で丸を作り男性社員の誘いを受けた。

「ちょっと裕香、いいの?」

私は男性社員に聞こえないようにヒソヒソと小声で話す。

「いいじゃない。彼氏ゲットのチャンスだよ。クリスマスまでに彼氏欲しいでしょ?」

彼氏ゲットかぁ。そしたら主任の溺愛から気兼ねなく解放されるんだ…。

私はこの飲み会に参加することにした。

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