ボクソラ☆クロニクル


「だけれどアイツの右腕なら悪かねぇ。そう思って船に乗った。ここにいる連中は皆、似たり寄ったりだ。空賊になりたくてなったんじゃねぇ。あのバカ船長のそばにいたくて、集まってんだ」

 あ、そう言えば。ルドルフさんも同じようなこと言ってたっけ。

 ここがぶっ壊れたらアリスは地に落ちる。それをさせないために、僕はこの船に乗っている。空賊じゃなくたって別に良い。
 この船と、彼らがいてくれるのなら。
 肩書きなんてどうでも良い。
 ジャバウォックを乗せてホワイト・アリス号が空を駆けている今この瞬間に全ての意味が込められている。


「……なんだか、温かいですね」

 レオンさんと、レオンさんを慕って集まった彼らとの関係はとても眩しくて温かい。
 今日で2日目。
 明日にはこの船はキトリール州に到着する。
 初めから決まっていた旅の日程がとても短く感じられてしまう。それくらい、この船は温かい場所だった。

 ……でも、だからこそ。
 初めから『3日間』という区切りで良かったんだと思う。
 お父さんがどうして王都に連れていかれたのか。詳しいことは分からないけどきっと何か理由がある。

 何があるのか分からないところに彼らを巻き込むことは出来ない。だから、3日でちょうど良かった。
 キトリール州に着いて彼らと別れたら、貨物船に乗り換えて王都を目指そう。私の事情にこの温かい場所を巻き込ませることは出来ない。皆が大事にしているレオンさんを、ジャバウォックを、巻き込むなんて、とても出来ないから。

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