【電子書籍化】騎士団長と新妻侍女のひそかな活躍
その言葉に、エルシーもハッと顔を上げる。

「で、でしたら、私も一緒に参ります! アーネスト様だけにこの件について、責任を負わせるわけにはいきません。むしろ、陛下から罰を受けるのは私です。アーネスト様、お願いします、私も連れて行ってください……!」

「……君ならそう言うと思っていた」

アーネストは少し口角を上げてエルシーを見やると、再びティアナの方を向く。

「その前に、ひとつお尋ねしたいのですが」

「はい、なんなりと」

「貴殿の本当の名を伺っても?」

それは唐突な質問だったようで、ティアナは目を見開いてアーネストをじっと見つめた。これまでの話題が王女についてだったので、話の流れからまさか自分のことを聞かれるとは思ってもいなかったのだろう。

「……ディアン、といいます……。ローランザム王家に拾われた際、王様より賜った名前です。王女と近い名前だから覚えやすいだろう、と」

やや震える声で、ずっとティアナの替え玉を務めてきた美しい少年は、自分の名を明かす。緊張の中、身を偽っていた少年の肩の荷が少し下りたのだろう。彼の目が少し潤んでいる。その姿に、エルシーは安堵すると同時に、これまでの彼の心情を察してなんとも言えない切ない気持ちになった。
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