【電子書籍化】騎士団長と新妻侍女のひそかな活躍
「その本物の王女様は今、どちらに?」

「この国から一番近い東側、ローランザム領内の、信頼できる貴族様のもとに身をお寄せになっています」

エルシーとアーネストは顔を見合わせた。

「これから、どうしたらいいんでしょうか……?」

「俺たちだけでは手には負えない話になっている。ここは正直に陛下に申し上げるべきだろう」

「それはそうでしょうけれど、でも、そうなれば、この方たちは……っ」

「いいのです、エルシー様。我々はその覚悟を持って、ここに来たのですから。一昨日は思いがけず正体がバレて、突然のことに取り乱してしまい、申し訳ありませんでした。首を刎ねられる前に、あなたにきちんと説明をして、これまでのお礼を言いたかったのです」

ティアナは穏やかに微笑んだ。その表情は、とうに死期を悟った者が見せる落ち着きをはらんでいて、エルシーの胸は鋭く痛む。

「エルシー様のような忠誠心に厚い方に出会えて良かった。おかげで、私は落ち着きを取り戻すことができました。感謝申し上げます。これで思い残すことなく、自分の使命を全うできます」

「……そんな……私など、何もできなくて……」

エルシーはそれ以上言葉が続かず、目を伏せた。

「では、我々はこれから陛下のもとへ参ります」

「お待ちください」

頭を下げるティアナとパメラに、アーネストが声をかける。

「私も同行しましょう。話を聞いた以上、ただの傍観者ではいられません。それに、次第によっては、あなた方の命は助かるかもしれない。陛下は決して無慈悲なお方ではありません」

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