【電子書籍化】騎士団長と新妻侍女のひそかな活躍
「アーネスト様⁉」
「怪我をしていては、歩くのも難しいだろう」
エルシーを横抱きにしながら、アーネストは茂みの中をずんずん進んでいく。他の騎士たちは見て見ぬふりを決め込んでいるのか、無言で館の方へと引き上げていく。それが余計にエルシーの羞恥を煽る。
しかし、痛む足ではあの崖すら登れない。ここは諦めてアーネストに身をゆだねることにした。
どうしてこんな所にいたのか、という彼からの質問に、エルシーはこれまでの経緯を説明する。
「声にずっと『下』と言われ続けてわからなかったんですけど、地面より下、つまり崖下を指していたんですね。この一帯の地形がわかっていたら、よかったんでしょうけれど」
「それにしたって女性がひとりで夜中に暗い場所を歩くのは危険行為だ。ましてや俺の大事な妻だぞ。何かあったらどうする」
「はい……反省しています」
怒られているのに、なぜだか少しくすぐったい。
館に到着すると、直ちに足首の応急処置が行われた。王都に戻って詳しく診てもらう必要があるが、従事していた軍医によれば大した怪我ではないということだった。
それでもしばらくは安静を余儀なくされた。ティアナのもとにすぐにでも駆けつけられない代わりに、アーネストが現時点で判明していることを教えてくれた。
王女を襲った相手は、かつての王女派、つまりティアナを女王に推していた勢力の人間で、ティアナが他国に嫁ぐことがどうしても許せなかったらしい。その男は地下牢に繋がれているという。
ジェラルドはすぐに処刑したりせず、男をローランザムに送り返すつもりらしい。事が大きくなれば当然ティアナにも火の粉が飛ぶのを防ぐためかもしれない。
今、ジェラルドはティアナとふたりきりで部屋に籠ってしまったため、それ以上の情報は得られていないとのことだった。
「怪我をしていては、歩くのも難しいだろう」
エルシーを横抱きにしながら、アーネストは茂みの中をずんずん進んでいく。他の騎士たちは見て見ぬふりを決め込んでいるのか、無言で館の方へと引き上げていく。それが余計にエルシーの羞恥を煽る。
しかし、痛む足ではあの崖すら登れない。ここは諦めてアーネストに身をゆだねることにした。
どうしてこんな所にいたのか、という彼からの質問に、エルシーはこれまでの経緯を説明する。
「声にずっと『下』と言われ続けてわからなかったんですけど、地面より下、つまり崖下を指していたんですね。この一帯の地形がわかっていたら、よかったんでしょうけれど」
「それにしたって女性がひとりで夜中に暗い場所を歩くのは危険行為だ。ましてや俺の大事な妻だぞ。何かあったらどうする」
「はい……反省しています」
怒られているのに、なぜだか少しくすぐったい。
館に到着すると、直ちに足首の応急処置が行われた。王都に戻って詳しく診てもらう必要があるが、従事していた軍医によれば大した怪我ではないということだった。
それでもしばらくは安静を余儀なくされた。ティアナのもとにすぐにでも駆けつけられない代わりに、アーネストが現時点で判明していることを教えてくれた。
王女を襲った相手は、かつての王女派、つまりティアナを女王に推していた勢力の人間で、ティアナが他国に嫁ぐことがどうしても許せなかったらしい。その男は地下牢に繋がれているという。
ジェラルドはすぐに処刑したりせず、男をローランザムに送り返すつもりらしい。事が大きくなれば当然ティアナにも火の粉が飛ぶのを防ぐためかもしれない。
今、ジェラルドはティアナとふたりきりで部屋に籠ってしまったため、それ以上の情報は得られていないとのことだった。