かりそめ夫婦のはずが、溺甘な新婚生活が始まりました
「じゃあ今日はずっとこのままな」

 彼女の手を握り返し、ゆっくりと小町通りを進んだ。

 土産もの屋やオシャレな雑貨店、伝統工芸品が並ぶ店をゆっくりと眺めては買い物を楽しみ、その道中でソフトクリームや焼き立ての煎餅などを食べ歩き、ランチは事前に調べておいた、小毬が好きそうなアンティークカフェに入った。

 その甲斐あって小毬は店を見るなり興奮し、豊富でおいしそうなメニューにさんざん悩んだ。

 真剣に選ぶ姿も、運ばれてきたメニューを見て感動する姿も、全部が可愛くてたまらない。

 その後も休憩しながら散策し、最後に立ち寄ったビードロ専門店で、小毬は目をキラキラさせた。

 ガラス細工の箸置きや、美しいキーホルダー。ネックレスや指輪のアクセサリーなど、見ているだけでも楽しそうだ。たしか小毬、こういうの好きだったよな。

「どれがいい? 記念にプレゼントするよ」

「えっ、そんなっ……!」

 謙遜する小毬に「いいから」と押し切る。

 そもそも小毬は昔から物欲がないと思う。誕生日プレゼントもクリスマスプレゼントも、なんでもいいと言っていた。

 高校生になり、デートをするようになっても必ず割り勘だった。バイトをして自分で稼いだお金で奢りたくても、断られていたくらいだ。

 でも今日は初めてふたりで旅行に来た記念に、なにかプレゼントしたい。
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